人間とロボットの境界を『AIの遺電子』で溶かして味わう

 

エソラコトナリです。

前から読みたかった『AIの遺電子』が期間限定無料になってました。

これはSFファンならずとも必見の作品ですよ。

 

人間もロボットも生きる世界

ざっくり説明するとこんなお話。

  1. 人間そっくりのロボット「ヒューマノイド」が当たり前に存在する世界で
  2. ヒューマノイド専門の医者である主人公が様々な患者に出会い
  3. 人間とヒューマノイド双方の葛藤が描かれる

 

主人公の須藤は医者ですが、モッガディートという通り名を持った闇医者でもあります。

本来は許可されていない医療行為をブラック・ジャックよろしくこっそりと請け負うわけです。

だからといって闇医療ばかり描かれるわけじゃなく、相手は普通に通院してくる患者だったり、わざわざ海外に出かけて診療する患者だったり。

登場するヒューマノイドの多様さがドラマを骨太にしています。

須藤自身はと言うと、感情をまったく表に出さないので人間なのかヒューマノイドなのか見分けがつきません。

中性的な存在が曖昧になった人間とヒューマノイドの境界を象徴しているわけですね。

 

人間とロボットの境界が溶ける

テクノロジーは境界を溶かすってのが僕の持論ですが、この作品は人間とヒューマノイドの境界をいい具合に溶かしています。

面白いのはそこで双方の悩みを描くこと。

人間は自分たちと見分けのつかない存在を目の当たりにして葛藤します。

しかもコンピュータを身体に埋め込む「インプラント」なんてのも当たり前になっていますから、自分たちが人間なのかロボットなのかも怪しくなってきている。

ロボットの身体を持つヒューマノイドにだって葛藤があります。

人間そっくりに作られたわけですから人間のように思い悩むのも当然といえば当然。

でも彼等の悩みは人間と似て非なるもの。

その視点の異なる悩みっぷりが面白いわけです。

 

この作品はよくあるSFのように世界が終わったり、はたまた世界を救ったりはしません。

でもテクノロジーが何を変えるのか、また何を変えないのかを存分に味わえる紛れもないSFです。

どうぞいい具合に溶けた境界を味わってみてください。

ABOUT

エソラコトナリ

生まれながらのフィクション好き。ラジオ・ブログ・YouTube(玩具レビュー・ゲーム実況)でフィクション愛を語ります。一発どりのラジオは配信400回⬆︎ 玩具レビューのフィギュアハイは登録者7,000人⬆︎文章は書かないが今日もよくしゃべるブロガー