シン・シティ/ハード・グッバイが素晴らしすぎてマーヴに愛しか生まれない

 

エソラコトナリです。

ほんと、まさか、ここまでとは。

フランク・ミラーの代表作、シン・シティを読み始めました。

 

シン・シティは「罪の街」を舞台にした全7巻の群像劇。

フランク・ミラー自ら監督を務めた映画も有名ですね。

 

1作目『ハード・グッバイ』は想像を遥かに超える傑作でした。

一夜を共にした娼婦が翌日自分の隣で殺されていることに気づいた主人公マーヴ。

すぐに駆けつける警察に自分がハメられたことに気づき、彼女の復讐を誓うという物語。

 

とにかく全てが美しく、愛おしいんです。

美しいものなど一切描写されないにも関わらず、です。

 

どうしようもなく腐った街で登場するのは娼婦か犯罪者ばかり。

主人公マーヴも醜い顔にガタイの良さと頭の悪さでハルクのよう。

でもその行動にヒロイズムなど一切なく、パニッシャーもびっくりの残虐性を発揮します。

仇となるのはマーヴのそれすら可愛く見える異常で悪魔のような人間たち。

 

徹頭徹尾汚れたものが描かれる中で、たった一つマーヴの一途さが光るんです。

むしろ周りの全てが汚れているからこそ、そこに綺麗なものがあることに気づくのかも。

 

僕はここに時代劇の形式美を見て取りました。

一食の恩返しに、命を賭して、遊女の無念を晴らす風来坊の物語。

彼の行動指針は「恩」なんですよ。

この恩返しの道筋が全くブレずに最後まで美しい一本線を描きます。

結末もショッキングな内容ですが、その道筋の終着点として素晴らしい余韻を残すんです。

読み終わればマーヴに愛しか生まれない。

未読の人はこの美しさに酔いしれてみてはいかがでしょ?

(…ってアートの美しさを語る暇がなかったですね。それもまたおいおい)