アメコミレビュー:『インヒューマンズ』は理解度・衝撃度・好感度の3つも永久保証が付いた傑作だったよ

 

エソラコトナリです。

今回はアメコミ『インヒューマンズ』の話。

 

アメコミ『インヒューマンズ』

成人の際にテリジェン・ミストを浴びて特殊能力を開花させる超人類インヒューマンズ。
インヒューマンズを統べる声なき王ブラックボルト。兄であるブラックボルトの王の座を狙う弟マキシマスが、地下労働者達を率いてクーデターを画策する一方、地上からは人類が、バリア・ドームで守られた首都アティランへの侵攻を開始した!内外からの攻撃を受け絶対絶命の危機に陥るインヒューマンズ…。
苦悩するブラックボルトは如何にして状況を打破するのか!?1999年にアイズナー賞を獲得した人気読み切り作品が初邦訳で登場!

『インヒューマンズ』は1998年〜1999年に連載された『Inhumans』の翻訳版です。

2018年3月発売ですから実に20年の時を経て日本語で読めるということになります。

#1から#12で280ページを超える大ボリュームの1冊。もちろんお値段もそれなり!

 

インヒューマンズはドラマ化も実現したので名前を知っている人は多いと思います。

もしインヒューマンズを知らなくてもブラック・ボルトはご存知かも。

マーベルレジェンドのブラック・パンサーシリーズにも登場してましたね。

彼が国王として統治する種族がインヒューマンズです。

 

インヒューマンズはアイアンマンとキャプテン・マーベルが激突する『Civil War II』でも火種になった存在。

僕は彼らについてもっと知りたくなって『Inhumans vs. X-Men』のプロローグとなる『Death of X』を読んでみたんですが、結局何者?って感じが抜けなかったんです。

なので本書に期待を寄せて読んでみたら大当たり!

3つも永久保証が付いてくる傑作だったんです。

 

①理解度、永久保証

インヒューマンズの紹介本としてはこれ以上のものはないかもしれません。

それくらいに彼らについて細かく描写されています。

特に「闇」をクローズアップすることで王族や国民それぞれの葛藤が浮き彫りになる仕掛けには唸らされました。

 

開花した能力が格差を生む

インヒューマンズは成人の儀式としてテリジェン・ミストと呼ばれる不思議な物質を浴びます。

この時に眠れる能力が開花し、容姿も激変するわけです。

ところが全員が素晴らしい能力を得るというわけではなく、大きな能力を得る若者がいる一方で、たいした能力を得られない若者も出てきます。

その瞬間に友人だったはずの関係が階層分けのような距離を生んでしまう。

そんな悲哀を感じられる闇が描かれています。

 

奴隷的なアルファ・プリミティブ

さらに不幸なことに特殊な能力が開花しないアルファ・プリミティブと呼ばれるものに変化してしまう若者も。

彼らはインヒューマンズが暮らすアティランを重労働で支える奴隷のような存在。

理想国家とは程遠い深い闇があることもわかるのです。

 

ブラック・ボルトの超がつく絶対王政

本書ではそんなインヒューマンズがこれでもかってくらいに次々に悲惨な状況に追い込まれます。

それなのに全ては国王ブラック・ボルトの一存待ち。

王族ですら疑いを持ち始めるほど彼の意向には読んでる僕らもヤキモキさせられます。

そんな王政で大丈夫か?っていうくらいに大きな闇を感じるわけです。

 

②衝撃度、永久保証

もちろんそんな闇をたっぷりと準備しておくのはライターのポール・ジェンキンスの作戦に他なりません。

彼は本書に衝撃的な仕掛けを準備しています。

これには僕も「マジかっ!」と叫んでしまうくらい度肝を抜かれました。

不朽の名作『ウォッチメン』を彷彿とさせるような「決断」に驚き、傑作と呼ばれる理由を体感することになったんです。

漫画のアカデミー賞と呼ばれる「アイズナー賞」を授賞していることにも大いに納得させられました。

実は本書がきっかけでそれまで不遇だったインヒューマンズが見直され、不動の人気を誇るX-MENと全面対決する『Inhumans vs. X-Men』にもつながっていくようです。

 

③好感度、永久保証

ジェンキンスに負けじとアートのジェイ・リーもこの崇高な物語に相応しい魅力的なキャラクターを生み出しています。

本書を読めばインヒューマンズのことが大好きにならずにはいられないはず。

僕は特にブラック・ボルトとその妻メデューサの魅力にヤラれてしまいました。

読了後はブラック・ボルトのフィギュアは口閉じヘッドパーツが300倍くらいカッコよく見えるようになったし、メデューサのフィギュアには「これじゃ足らねぇ!」と野次りたくなりました。

それとあの犬!ロックジョー!

何考えてるかさっぱりわからない感じがキュートすぎます。フォーク刺さってるし。

 

『Inhumans vs. X-Men』がより楽しみに!

X-MENサイドで読むつもりだった『Inhumans vs. X-Men』もどっちに転ぶかわからなくなってきました。

もちろんそういう状態こそがマーベルのクロスオーバーを存分に楽しむコツ。

本書は皆さんのイメージするインヒューマンズを何段階も魅力的な存在に押し上げること間違いなしです。

紹介本にして至高の一冊をぜひ体感してください!

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